生き物色々。
今年の春頃、どこかに出かけたいと言う欲求がふと湧き上がって、しかしそのくせ懐は春に程遠く極寒の地であったため、そのまま東京でふらふらしてきた。
何となく猫を追いかけたかったので(猫に嫌われるタイプだと言うのに)、猫が多くいると聞いたことのある谷中、千駄木、根津のあたりを一日歩いたり、早朝の築地場内に潜り込んだり、漱石一門萌えの友人に感化されて本郷をふらふらしたり、ジョサイア・コンドルの建物をめぐってみたりと数日暢気に過ごして、最後に無性にお好み焼きともんじゃが食べたくなったので月島へ向かうことにした。
月島も谷根千並みに猫が多かった。
車の通れない細い路地が多いせいだろうか。
根津では猫を抱えてるおじさんに話しかけられて「かわいいですねー」と言ったら*1、「うん、前にまた一匹生まれたんだ。見たいかい?」と訊かれ、頷いたところ両手の中にすっぽり入るくらいの仔猫を連れてきてくれた。*2
「あげるよ」と大変軽い調子で言われたのが衝撃だった。
一応名目上旅の途中だったので、勿論丁重にお断りしたのだが、近頃家に鼠が出るようになったので今になってあの子に一緒に来てもらえばよかったかなぁと考えたりしている。
その日は暑くて、犬は思い切りだれていた。
子供に囲まれてもぴくりともしない。かなりお歳の犬だったのかもしれない。
そんなこんなでしこたま歩いてお好み焼きともんじゃもたいらげて、アルコールも程好く回したまま月島の街を徘徊していたところ、ヤツに出くわした。
しかもかなりゆっくり目とはいえ飼い主の歩調に遅れることなくのっしのっしと歩いていく。
思わず唖然と見送りそうになって、はたと気付き急いで写真を撮らせてもらった。
ケヅメリクガメというそうです。あぁー、ビックリした。家に戻ってから調べてみたところ、月島の結構な有名カメであるらしい。
私はよく旅先から絵葉書を友人に送るのだけど、あとは投函するだけの絵葉書に慌てて追伸で「カメ!カメがいた!! カメすごい!!」と書き足して送ったところ、わけがわからないから説明しろと帰還後にメールが来てた。そらそうだ。