日の丸ウンコ問題っつーか国旗改変問題のこと

 本当は色々書きたいことがあって下書きしてるんだけど、うまくまとまらんのでふと思いついたことだけ先に書いておく。
 外国人排斥に反対するデモで日の丸の赤い円をウンコに変えたり猫に変えたりした旗を掲げていた件ですが。
 

 外国人排斥を許さない6・13緊急行動 / 写真★速報
 そのブクマ

 
 これさー、怒ってる人の焦点がよくわからんのだよね。
 いや、怒る人がいるってのはわかるんだけどさ。国旗に対する侮辱だと。*1
 では、どの部分が侮辱と感じたの?と。
 

  • 日の丸を改変したから?(もう絶対にあのデザインを崩しちゃダメ?)
  • 用いられたのがウンコだったから?(つまり猫ならOK?)
  • 作った奴が反日サヨクだったから?(おまえが気に入らない?)
  • それを愛している人がいるのにその尊厳を貶めようとしたから?(文脈の問題? ならそうでない場合のウンコは?)*2

 
 まぁ、色々ぐしゃぐしゃ絡まってるだろうし、それより先に感覚的に国旗に愛着持ってる人もいるんだろうからはっきり分けられるものでもないんだろうけどさ。
 
 あらかじめことわっておくけれど、私は国旗に敬意を払わない人間です。どこの国のものであれ国旗国歌がもたらす称揚感というのを好まない。それでも、国旗国歌を尊重する人がいるのは知っているし、その点で私と意見は食い違うだろうけれど、それ以外の意見で有意義な話が出来るのならそっちでの意義を先に取りたい。
 
 さて、日の丸改変問題でふと思い出したのは大分前の以下の一件だ。

 痛いニュース(ノ∀`):英国旗「ユニオン・ジャック」がウェールズ国旗を組み入れたデザインに変更か
 そのブクマ

 ひどいよねこれ(笑)。爆笑したよ。
 よその国の国旗で何やってんの、と思いながら改めてこういう時の2ちゃんねらのすごさを思い知ったよ。
 ブクマコメント見てても「自重wwwwwww」とか「これがきっかけで英国となかよくなったりしないかなー」とかある。んなわけねーだろ。
 国旗の改変そのものが許せない、という人はこの件見てどう思っただろう。他国の国旗にこんなことするなんて許せない!と思った?
 それがさー、ブクマコメント見る限り、「いいのか…?」とか「とうの国の人が見たらどう思うのかしら」程度なんだよ大体。しっかりネガコメしてたのはid:y_arim氏くらいだった。

y_arim 2ch, art, design, international, uk, neta, これはひどい, literacy, あんたバカァ?, 美しい国
ネガコメしてみる。/他国の国旗に敬意を払えない人々。こういう連中が自国の国旗に敬意を払うのは当然だろう、などとぬかしているのかと思うと臍がメルトダウンするぜ。/あとでウェールズ史について書くかも。 2007/11/30

 正論ですよね。私は自国の国旗をこういう扱いされても笑えるのでハラ抱えて笑いましたけど。
 
 でもこの2ちゃんねら達には悪意がないじゃん!という主張は当然出てくると思います。そうですね、これが韓国や中国の国旗だったら目も当てられないことになってたと思います。そして抗議してきた韓国や中国の人を「火病った」とかいうんじゃないでしょうかねー、多分。
 
 さて、上のユニオンジャックの件には続きがあります。

 Japan offers to solve 'Union Jack problem' - Telegraph
 (あら、画像が消えちゃってるや)
 そのブクマ

 画像一覧を紹介してるyoutubeがありました↓。ちなみにtelegraphさんからきちんとリンク張ってあった。
 http://www.youtube.com/watch?v=U_OCTf_eFE8
 2ちゃんでの反応↓。( ;^ω^)<へいわぼけの方は記事が消えちゃったようなのでブクマのみ。

 はてなブックマーク - ( ;^ω^)<へいわぼけ: イギリス人「JAPが国旗の解決案を提示してきやがった!」 ねらーの送ったデザインが掲載される
 痛いニュース(ノ∀`):「英国旗変更問題に日本から解決案」 2ちゃんねらーが考案した国旗デザインが英紙に掲載される
 そのブクマ

 すごいですよねイギリス。そうそう、笑って許してくれたんだからいいじゃないか、って。
 はたしてそうなんですかね?

synonymous Britain このジョンブル根性で遠まわしにウェールズをからかっている。あの国のナショナリズムは、日本のそれとはずいぶん様相が異なるように思う。 2007/12/01

 私はこの方の意見を無視しちゃいけないと思います。youtubeの方には表示されてませんけど、Telegraphさんとこに画像があったときは、二番目に表示された画像なんてユニオンジャックの真ん中に聖ゲオルギウスでしたからね。*3
 ユニオンジャックの変更の、そもそもの発端についてはこちらを参照。ついでにまぁ、ルイズの旗に関しましては↓このような指摘も。

y_arim news, uk, neta, ルイズ ラ・ヴァリエール嬢英国旗に登場するの巻/元ネタが、フランスをモデルにしたトリステイン(ルイズはここの人)がイギリスをモデルにしたアルビオンに連合軍を率いて侵攻、占領することを考えるとかなりアレだなあ。 2007/12/01

 日本からは「イギリス」とまとめて見てしまいますけどUKってUnitedKingdomですからねぇ。
 日本で作られたときは悪意なんてなくても、どのように用いられたかはちょっと考えてもいいんじゃないかしら、と私は思ってしまったのでした。ウェールズの人の心境やいかに、と。そりゃ実際に私も確認できていないので何とも言いようがないのですが。私みたいな人間もいるしねー。
 でも怒る人がいるのは想定しておいていいんじゃないの? 自分の国旗に何かされたらイヤだって言うなら尚更さ。悪意がなかったっていうんなら、悪意を持って用いようとする人にはきちんと怒ってくれるんだよね?
 
 だからさー、こういうことやっといて(笑っといて)日の丸ウンコにされたから怒るってのもどうなのよ、って気がしちゃうんですよね。いや、怒る気持ちがあるのは理解するんだけどさ、だったらこれについてはどう思うのよ、って。筋は通そうよ。
 
 ついでに。
 京都のデモのレポート見てると、在特会桜井誠カリカチュアとして蝶ネクタイ締めてウンコにした日の丸掲げてたって言うんだけどさ、それは文脈として捉えるなら在特会が掲げてる日の丸なんてウンコだ」ってことだよね。*4ハタから見てる人にそれは伝わらないし、伝わらなかったらそれは運動として悪手なんだけどさ。
 「なんであなたはそんな旗を掲げてるの?」ってわざわざ訊いてくれる人はそうそういないもの。
 お上品にやっていかなきゃいけないわけじゃないけれど、でも「うまくやってく」ことは考えてもいい。*5
 

*1:共感はせんよ。だったら大事な国旗を在特会みたいなのに振らせるなよ、そっちの方がよっぽど国旗への侮辱だろ、というのもある。

*2:侮辱じゃないウンコなんてないというのもまぁ概ね正しいけど、それじゃ在日コリアンを侮辱するために「チョン」という言葉を使っておいて「これは十返舎一九の使っていた〜」とか言い出すヤツらにも同じ基準を適用してくれと思う。

*3:聖ゲオルギウスは竜を倒した聖人。で、ウェールズ旗に描かれているのは竜。

*4:だから排外主義に反対する立場での日の丸ってのは、日の丸の洗濯行為なのかなと思う。

*5:もちろん「うまくやった」としても絶望したくなるくらい進展はないだろうし、また一から「うまくやらないと」いけなくなることの繰り返しだから、運動に携わってる人が疲弊していくのを間近に見てる身としては、「うまくやれ」と外部から言われることに溜め息つきたくもなるんだけどね。

漫画だけではないけれど。

 こういうのを後ろ弾って言うんだっけ? - NaokiTakahashiの日記
 韓国人、嫌韓を見る : 韓国のオタクとしても、やっぱりヘタリアはどうかと思う
 『ヘタリア』作者の浅さと、読者の責任と - 法華狼の日記

 ヘタリア問題の、特に↑このへんを見ていて、以前ブックマークした記事を思い出したので読み返させていただいた。

 白拍子なんとなく夜話 - 「差別と向き合うマンガたち」と「MASTERキートン」

 このエントリでよしながふみ恩田陸の対談が紹介されているので孫引きさせていただくと、

 (怯えながらマンガを描くというよしなが氏は、恩田氏に「どうして」と訊かれて)
 やっぱり表現することの恐ろしさというか……特に漫画って非常に具体的な表現ですよね。(中略)それが具体的な表現である限り、絶対に誰かを傷つける表現方法なわけですよね。
 (河出書房「文藝」2007春号 特集恩田陸」より)

 …とある。


 で、私のブクマコメント。

trafficker 書籍, 差別, 漫画 よしながふみの怯えに共感する。何かを口に出すというだけでも私は充分怖い/「差別の存在」を描くのと、描いたものが「差別になる」の境界線を考える。


 結局自分の中でのヘタリア問題はここが一番の焦点になってる。ヘタリアが無邪気なままあの内容を「表現」していることにまずモヤモヤした気持ちがくすぶるのだ。一個人のWeb、書籍、そしてアニメ放映と「表現」のフィールドの大きさにも違いがあるので、どこまでなら内輪の居酒屋気分でOKかという線引きも考える必要があるけれど。


 よしながふみの言う「怯え」を前にして畏まるなりあえて踏み越えるなり、表現者がどのように振舞うかはそれぞれあると思うけれど、何か発信しようとする人間は自分の「表現」に無邪気過ぎてはならないと思うのだ。まず批判内容を検討する以前の前提として*1、批判を前に無邪気さや「冗談」で逃げることは出来ないし、批判に対して「そんなつもりはなかった」のなら今後は自覚せねばならない。
 いやもう、自分のダイアリーどころかブクマコメントひとつ書くにもガクブルしてる小心者がここにいるわけですが。こんなこと書いちゃったからには自分も引っ込みつかなくなるぞー、と思うとホント怖い。

*1:勿論内容にも問題大アリなんだけれど、そこを「悪意がないから」「邪気がないから」で済まされちゃ話にならないし、その偏見のカジュアルさを盾にしてガチのレイシストが好き勝手言い出したらどうしようもない

だって築地本願寺だもの。

 【2ch】m9(^Д^)プギャーーーッブログ ちょwwwww築地本願寺なにやっってんのwwwwwwwwwwww

 これが古式ゆかしい、いかにも日本建築のお寺だったら「あらまぁ」と思っただろうが、いかんせん築地本願寺だと「さもありなん」と頷いてしまう私がおりますよ。築地本願寺西本願寺系の寺院で、第22代門主である大谷光瑞は、中国経由ではなくチベットやインドなどへ仏教の源流を探しに自ら探険隊組んで乗り込みに行っちゃった人なんである。ついでに言うなら神戸に「二楽荘」というインドとアラビア、イギリスと中国が同居した、入り口から家までケーブルカーでないと入れない別荘作ってるけったいな人である。付け加えると大アジア主義傾向も強かった。

 二楽荘-Wikipedia
 二楽荘と大谷探険隊

 「虹を翔るお坊さん」などと言われたって、それこそインドの山奥で仏教遺跡訪ねまくった人の流れを汲む寺院なんだからレインボー繋がりしたところで何の不思議もないわけだ。
 
 ……とまぁ、アホな話はさておき。

 築地本願寺の建物そのものを見ればやっぱりここまでネタには思われなかったのではないかなぁ、と言うのが私の正直な感想ではある。築地本願寺大谷探検隊にも参加した伊東忠太の設計で、この人の建築もインド風をはじめとするアジアテイストが漂う。

 伊東忠太-Wikipedia

 靖国遊就館なんかもこの人の設計。

 さて、築地本願寺である。以前築地に出かけた時撮ってきた写真があるのでちょっと並べてみる。写真多くて長くなったので続きを読む記法で。

続きを読む

その心境やいかばかりか。

 それにしてもたった四、五日、しかも食事には来ていて姿も確認できている猫ですら気が気じゃなくて家中右往左往だったのだから、百鬼園先生なんて本当にしんどかったろうなぁ。猫を迎える前に「ノラや」を読んでしまっておいて正解だったと思う。今はもう怖くて読み返せない。

共同生活。

 先月半ばに、家に出たネズミ対策のために母が猫をもらってきた…のはいいのだが、随分と人見知りをする猫だった。今現在は本棚などで高低差があり、なおかつ爪とぎをされても畳ほど被害の出ない私の部屋(絨毯敷き)で共同生活を送っている。
 どうもテレビ台の中に寝かしてある箱三郎の上がいたく気に入ったようで、箱三郎のフィルタって売ってたっけかな、と頭を悩ます日々である。

 

 ところがつい数日前、私の不在時にドアを開けた祖母の隙をついて猫が外へ出てしまった。まいった。
 結構な交通量の道路が眼前にあるし、ここらは元豪農の地主さんが多いので畑に逃げ込まれたら追いかけようがない。一家総出で大騒ぎである。

 が、ふと思いついて玄関先に猫缶を皿にあけて出しておいたら物の三十分もしないうちにぺろりと消えていた。一安心。玄関を細く開けて家の内側に餌皿を置いて待つことに。
 が、これが敵もさるものでまるで捕まらない。退路の確保と機動力が半端なく、以前の飼い主から大好物と聞かされたカマンベールチーズでおびき寄せるも口にくわえたまま颯爽と走り去っていく始末。しかも大概食事に来るのが深夜から明け方にかけてなので、食事時間が唯一の捕獲のチャンスである我が家としては玄関を開けたまま夜っぴて待ち受けねばならない。
 はっきり言って寒い。
 最も玄関に近い部屋にいる祖母には、私の部屋から羽毛布団が支給された。私は母から登山用の靴下を借りて玄関口でノートPCをカイロ代わりに寝袋で待機。
 寒い寒いと口々に呟きつつ、既に家族全員大いなる猫バカと化していた。

 マタタビで酔っ払わせた隙に扉を閉じてしまうという作戦も立てたのだが、「クソッ、まるで効果がない!」「ヤツは化け物か?!」という結果に終わる。気がつけば別の猫が寄り付いてきて、ケンカと思しき声が御近所に響き渡るハメになった*1。頭抱えつつ後悔しきり。

 そしてようやっと一昨日、陣地奥深くまで引き込んで身柄確保に成功したわけだが、案の定総員思い切り風邪を引き、祖母、母、私の女三代、ずるずると白粥をすすりつつ今に至る。ぶつくさ文句を言いながら全員顔は笑っている。アホだ。

 で、当のお猫様はというと、

 

 

 肉球と足先を多少くすませて帰還した後、ぐっすり眠っている。それでこそ猫というものである。
 

*1:随分貫禄のある茶トラだったのでやはりどこかの外猫かもしれない

そこに意味はなくとも、ふと何かを見出してしまう。

trafficker2007-11-30


 夢十夜Remix
 「夏目漱石夢十夜』を形態素解析マルコフ連鎖で再構成するスクリプトです」とのこと。
 

第756夜

敵の大将は、弓の真中を右の手を楓のように云っている。騒がしい往来の活動にはほとんど心を留めていない。自分はつまらないから死のうとさえ思っていると、七日目の晩にふらりと帰って来なかった。

それから星の破片は丸かった。長い間大空を落ちている間、金魚売はちっとも現前しない。高い所に乗っている事さえ忘れているように思う。

それでもまだ篝のある所まで来られない。しばらくすると二股になったんだろうと思って急いだ。

爺さんが笛を吹いて通った。喇叭を口へあてがっているんで、頬ぺたが蜂に螫されたように思える。そうして「今に御帰り」と聞いた。

自分ばかりではないのだと気がついた。

 
 ブックマークした後、ふと出てきた文章がなんだかえらく気に入ったので、取っておくことにした。
 というか、素材に「夢十夜」を選んだというところでこれはもう「勝ったも同然」ではないかと。文庫本をキーボードの脇に控えさせておきたくなる。青空文庫も楽でいいかな。

 青空文庫 夏目漱石 夢十夜